『あの女』
林田力
真梨幸子『あの女』(幻冬舎文庫、2015年)は女性のドロドロとした感情を描いた小説である。「女は怖い」というテーマの小説は無数にあるが、本書の特色は超高層マンションを重要なスポットとしていることである。ある超高層マンションについて不動産業者が事故物件であると説明する。それを枕にして物語が進む。これは新鮮である。超高層マンションは怨念が蓄積しやすい場所である。超高層マンションでは日照が阻害されるなど周辺住民の住環境が破壊される。超高層マンションは周辺住民の怨みの対象になる。また、超高層マンションは、低層階と高層階のカースト制度によって超高層マンション住民の怨念も蓄積しやすい。故に超高層マンションとホラーは意外と相性がいい。
恐ろしさを感じたエピソードは植物状態になったとされる女性の話である。意思表示はできないが、聴覚は機能しており、思考能力もある。それにも関わらず、病院は意識がないと決めつけている。「看護婦も医師も、あまりに、想像力が欠如している」と指摘している。現実社会では、そのような決めつけで安楽死や尊厳死が行われている危険がある。非常に恐ろしく感じた。
本書は医療システムの不合理も指摘している。「長期患者を抱えていれば抱えているほど、病院の経営を圧迫する」(245頁)。これでは意識がないとされる患者を死なせることは病院の利益に合致してしまう。病院が積極的に延命治療しない場合に病院の利害が絡んでいないか吟味する必要がある。
本書は読者をミスリードし、予想外の展開に読者はいい意味でだまされる。不動産営業の話も単なる導入部以上の意味があった。世の中の「女は怖い」という話には女性バッシング的な要素もある。女の事件は男の悪人が絡んでいることも多い。それにもかかわらず、女性ばかり非難される傾向がある。これに対して本書は男の悪人も因果応報となる。そのために大団円の結末ではないが、読後感は悪くない。

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