書評『江戸のアウトロー 無宿と博徒』
林田力
阿部昭『江戸のアウトロー 無宿と博徒』(講談社、1999年)は江戸時代のアウトローである無宿と博徒について論じた書籍である。身分秩序が厳格と思われがちな江戸時代であったが、無宿や博徒の世界はカオスであった。農村が立ちいかなくなり、流人化して無宿になる農民が多かった。その一方で、封建的束縛を逃れるために、あえて無宿を選択する人々もいた(254頁)。最近の歴史教科書では士農工商が書かれなくなっている。明治政府が暗黒時代と貶められたが、江戸時代の身分はもっと流動的であった。この点で本書は先進的である。
本書は幕府や藩を最も悩ませた民衆の抵抗は百姓一揆ではなく、無宿の動きであったと主張する(122頁)。百姓一揆は村や家に所属し、領主の御仁政にあずかるべき正統性のある運動であった。言わば既得権擁護の運動である。これに対して無宿は封建体制そのものを動揺させ、変革させる力を持つ。少数の支配階級と圧倒的多数の被支配階級という戦後日本で流布した通俗的マルクス主義的な世界観は現実社会の多様性を説明できないのではないだろうか。
幕末には世直し一揆が頻発する。これは既得権擁護型の従来の一揆と比べて、世直しを志向する点に新しさがあった。そこには無宿など異端の人々の活躍があった(262頁)。坂本龍馬らの勤王の志士の活躍がなくても幕藩体制は行き詰まっていたことが理解できる。むしろ世直しの動きが薩摩藩や長州藩の権力闘争に取って代わられたことが近代日本の不幸だろう。

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