『喪失とともに生きる』
林田力
竹之内裕文、浅原聡子『喪失とともに生きる―対話する死生学』(ポラーノ出版、2016年)はグリーフケアと死生学についての書籍である。大切な人を亡くすことは大きな悲しみをもたらす。本書は悲嘆が時間の経過と共に薄らぐものではなく、克服するものでもないと主張する。これは重要な指摘である。特に日本では「苦しくても前向きに頑張る」というような特殊日本的精神論が横行しており、余計に苦しむ人々が出てしまう。本書でも周囲から叱咤激励されて、気持ちを表出する場を与えられず、悲しみに向き合えなかった例が取り上げられている(135頁)。
本書は大切な人を亡くした人の悲しみが主題であるが、それに限定されない。死と生は表裏一体である。「周産期医療の現場から」では赤ちゃんが生まれて育つことだけでも非常に大変なことが分かる。生きているだけで、すごいことである。
「小児救急の現場から」では丁寧なインフォームドコンセントの事例が紹介される。「家族に、Aがいいですか?Bがいいですか?と選ばせ、一方を引いたら後はあなたたちの責任ですよ、という単純な流れにはならないように留意している」(75頁)。
インフォームドコンセントは患者や家族が主体的に治療方針を選択できるようにするためのものである。しかし、悪しき自己責任論と結合すると、患者や家族自身が選択したから自己責任という病院の責任回避の手段にも使われてしまう。上記の留意は、悪しき自己責任論に陥らないようにしている。本書の別のコメントでも聴くことの大切さを指摘している(278頁)。一方的な説明をコミュニケーションとする勘違いに反省を促すものである。
本書の喪失は大切な人との死別に限定されない。住まいの貧困(ハウジングプア)の問題も取り上げる。住まいは生活の基盤である。住まいを喪失した人は物理的な住居を失ったというだけでなく、大切なものを喪失している。グリーフケアの視点で住まいの貧困を語ることは慧眼である。

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