『凍りついた空 エウロパ2113』

林田力

ジェフ・カールソン著、中原尚哉訳『凍りついた空 エウロパ2113』(創元SF文庫、2014年)は木星の衛星エウロパを舞台としたSFである。人類は衛星エウロパを調査する。厚い氷に覆われた世界には文明の痕跡があり、高度な生命体(サンフィッシュ)が存在した。異星人とのファーストコンタクトは繰り返し描かれてきたテーマであるが、文明レベルが人類よりも下に見える種族との遭遇は意外と新鮮である。

ファーストコンタクトだけでも十分なテーマであるが、本書は人間と人工知能との主導権争いに始まり、国同士の確執や研究者間の口論など人類側の対立もてんこ盛りである。SFも設定が未来であっても、本質は人間ドラマであると再確認させる。

本書には恋愛要素もある。物語ではお約束であるが、ストーリーを追いたい向きには余計に思えることもある。本書では恋愛感情があった方がパフォーマンスを発揮するために調査団を男女混成チームにしていると説明する。物語の中でロマンスが描かれることに納得できる設定である。

人類が相手を知的生命体と認めて倫理的に振る舞えるか難しい問題を含んでいる。本書でも言及されているが、アメリカ大陸での白人入植者とネイティブ・アメリカン(インディアン)のようにならないかと考えさせられた。主人公は製薬会社の利益のためにサンフィッシュを狩ろうとする科学者と対峙する。

この点で主人公は善玉であるが、その主人公もサンフィッシュに知性があることが前提である。「クジラには知性があるから食べてはいけないが、牛や豚は食べていい」との二元論が背景にある。本書は中国が最強の超大国になっており、ブラジルも新興国として存在感を示すなど決して欧米至上主義ではないが、基底の価値観は欧米的であり、日本人的な価値観からすると違和感がある。

遺伝子学者の説明が面白い。八本も触手を持つ生命体は、脳の多くが運動制御に使われることになる。「ゾウはあの長い鼻を動かすのに脳の大部分を使っている」(216頁)。文明生活によって人間の肉体には退化した面もあるが、それによって益々高度な思考力を得ている面もあると考えられる。

本書は22世紀初頭の2113年という設定である(奇しくもドラえもん誕生の翌年である)。当然のことながら現在よりも宇宙開発など科学技術が進んでいる。興味深い点はロボットが自己修復するなど物質の再利用技術が進んでいることである。それによって危機的な状況への対応力が高められている。現代の精密機械では考えにくいが、ソフトウェアのシステムスキャンやプリンタのノズルチェックなど近い技術思想は既に存在しているかもしれない。


林田力


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