『ほしのかえりみち』

林田力

きたじまごうき『ほしのかえりみち』（絵本塾出版、2014年）は絵本である。主人公「ぼく」は男の子である。家族で車に乗って帰宅中である。窓から見える景色は、車と街の明かりがキラキラと光って星のようであった。そのうちに、いつのまにか星空の中をドライブしていた。表紙の男の子の驚いた顔が印象に残る。

単なる宇宙旅行だけでも非日常であるが、宇宙の中のガソリンスタンドやサービスエリアが想像力をかきたてる世界をつくっている。ラストには驚きの展開が待っている。記憶に残る絵本になる。

サービスエリアに駐車（？）している宇宙船の中に寿司のような外形のものがある点が面白い。本書で描かれる宇宙人は海の生物を人型にしたものが多い。SF作品などでも火星人をタコ風に描かれることが多い。人間にとって海中は現実に存在する神秘的な世界である。宇宙人を想像する際に海の生物を持ってくることは理に適っている。このように考えると寿司のような宇宙船はSFの世界観に合っている。

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