『江戸の非人頭 車善七』
林田力
塩見鮮一郎『江戸の非人頭 車善七』(三一新書、1997年)は江戸時代の浅草の非人頭・車善七についての書籍である。車善七は非人の頭領が代々襲名した名前である。本書は車善七の住居の場所、穢多頭・弾左衛門との争い、明治の身分開放令後など特定トピックを中心に書かれている。車善七を知らない人が体系的に理解するための書籍ではない。車善七を知っている人が理解を深めるための書籍である。タブーとされがちな分野で本書のような深い書籍が出ていることは興味深い。
歴史教科書などでは、穢多非人は被支配階級の不満をそらすために創設された身分制度と説明され、それ以上は語られない傾向がある。これに対して本書では非人が江戸という大都市の維持に必要な存在であったことを示す。
弾左衛門との争いは、賤民階級と一くくりにされる人々の中でも複雑さがあることを示している。源頼朝以来の由緒などを持ち出して(捏造して)、自己の正当性を裁判で主張する姿には、ある種の誇りを持って生きていたと感じられた。
穢多非人は現代につながるセンシティブな問題である。これまで意識しないようにすることで差別をなくしていこうとする傾向にあった。しかし、単に差別される階級と片付けられない深さがある。その子孫であることにアイデンティティーを見出だす人がいたとしても理解できないことではない。都市化の進展で分からなくしてしまうことが差別解消になるのか考えさせられる。
非人とは離れるが、明治維新の説明が興味深かった。明治の始めが一般にイメージされるような平和的なものではなかったと説明される。錦の御旗を掲げた官軍は関東や東北の住民に傍若無人であった。各地で掠奪、放火、暴行、蹂躙を繰り返した。それを本書は戦前戦中の皇軍兵士の侵略地での残虐さの原点と説明する。
「絶対的な価値をあたえた天皇を軍のトップに戴いたことで、股肱の兵は下級の者に対して何をしても許されるという構造ができた」(186頁以下)。この説明に納得である。天皇制は日本に住む人々にとって優しくない。

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