『怪盗ニック全仕事1』
林田力
エドワード・D・ホック著、木村二郎訳『怪盗ニック全仕事1』(創元推理文庫、2014年)は泥棒ニックを主人公とした短編集である。一話が一つの盗みの話のオムニバスである。表紙の絵は、ニックが盗んだものが描かれている。ニックは人から依頼されて動く泥棒である。ニックが盗むものは「価値がないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」である。具体的には動物園の虎やプールの水、おもちゃのネズミなどである。どうやったら盗めるのか、と言いたくなるものを盗む工夫が物語の醍醐味である。
依頼人は高額な料金を払って他の人ならば欲しがらないようなものを盗むように依頼する。ニックは理由を尋ねるが、基本的に依頼人は「君に質問されるために雇ったんではない」と言い、教えてくれない(108頁)。このように言われるとニックも引き下がる。依頼人の理屈では、高額の依頼料には秘密を詮索しないことも含まれる。このために真相は最後に明らかになり、筋運びは巧みである。
ここには他人に干渉しないという個人主義の国らしさがある。これは依頼人に包み隠さず説明させるゴルゴ13とは異なる。ゴルゴ13は国籍を超越したキャラクターであるが、ニックと比べると日本人的と感じてしまう。
依頼人の中には邪な動機を隠し、ニックを捨て石にするために依頼する人も多い。そのような依頼には因果応報が返る。依頼人のルール違反を問答無用で射殺するゴルゴ13に比べると甘いが、軽妙なしっぺ返しを楽しめる。「復讐は倍返し」というような幼稚さはない。この点も成熟した個人主義が感じられる。

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