『21世紀の資本』

林田力

トマ・ピケティ著、山形浩生、守岡桜、森本正史訳『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)は格差の拡大に警鐘を鳴らした書籍である。資本の収益率が国民所得の収益率よりも高く、何もしなければ格差が拡大することを明らかにした。その対策として富裕層への課税強化などを提唱する。

本書の第一の価値は政策提言よりも分析にある。18世紀にまでさかのぼる詳細なデータから格差拡大を明らかにした。何もしなければ格差が拡大するにも関わらず、20世紀に格差が拡大しなかった理由は二度の世界大戦がある。戦争は富裕層にも直撃する。格差解消の強力な解決策は戦争という認めたくない結論になる。かつて貧困と格差に苦しむ若者から「希望は戦争」との主張がなされた(赤木智弘「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」)。その直感にも理があることになる。

当然のことながら「格差解消のために戦争をしましょう」とはならない。ピケティは富裕層への課税を提言する。そのためにトリクルダウン理論やアベノミクスを批判する側から喝采を浴びた。その立場に私も基本的に属するが、熱狂に身を委ねるには違和感を抱いた。資本蓄積の正当性・不当性ではなく、超大資本という現在の状態に対して規制を求めているように聞こえるためである。

東急リバブル東急不動産が不利益事実を隠してマンションをだまし売りした東急不動産消費者契約法違反訴訟を出発点とする私は、行為の不当性を追及することが第一である。それがブラック企業や貧困ビジネスへの批判につながる。ブラック企業や貧困ビジネスは超大資本ではなく、零細資本であることさえある。だからと言ってブラック企業や貧困ビジネスの行為の悪質さに目をつぶり、巨悪は別にあると矛先をそらせる気にはならない。

本書は当初、『21世紀の資本論』と紹介されたために誤解されたが、カール・マルクス『資本論』を下敷きにしている訳ではない。むしろマルクス主義者ならば労働者搾取の視点がないと批判する内容である。

前述の通り、私はブラック企業経営者のような悪い経営者の不当性を優先的な問題意識とする。そのためにマルクス主義の労働者搾取論でさえ個々の良し悪しよりも構造的な問題に還元してしまうために躊躇を覚えている(それ故に日本共産党がブラック企業批判を掲げたことは非常に高く評価する)。それでもマルクス主義には搾取という行為の不当性を示す要素があった。それ以上にピケティの超大資本批判は、行為の不当性を問題にしたい立場からはギャップがある。

多くの人々は超大資本には当てはまらない。それ故に超大資本がどれほど規制されても痛くもかゆくもない。だから「徹底的に超大資本を規制しろ」となるならば公正な姿勢かという疑問がある。多国籍企業の国際的な課税逃れを批判する人々が、ふるさと納税制度を利用して特産品欲しさに行政サービスを受益していない地方に納税しているようなことはないだろうか。

労働者と使用者、消費者と事業者、賃借人と賃貸人などは立場が違う。等しからざるものを等しからざるように扱う視点は正義に適う。しかし、あまりにも左翼にはダブルスタンダードの御都合主義が蔓延しているようにも思える。ネット右翼のヘイトスピーチを批判しながら自分達は「安倍死ね」を連呼するような左翼のダブルスタンダードが批判されている。その欺瞞を自覚しないダブスタ左翼にとってピケティの主張は心地よいものになる。これが本来は右派的な立場のピケティに日本の左翼が熱狂する背景だろう。


林田力


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