『真田三代』
林田力
火坂雅志『真田三代』上巻(文春文庫、2014年)は真田幸隆からの真田三代を描いた歴史小説である。NHK大河ドラマ『真田丸』が好調であり、真田一族への関心が高まっている。序盤は真田幸隆が主人公である。一枚岩とされがちな武田家臣団であるが、本書では真田が新参の外様として甲斐の譜代家臣から軽視される状況が描かれる。幸隆も武田に絶対の忠誠を有しているのではなく、真田家を第一に考えている。武田の強さは信玄のカリスマがあってのもので、勝頼の時代に甲州崩れが起きた理由を再確認できる。
第四次川中島合戦は上杉謙信が武田の上を行っていたと描かれることが多い。これに対して本書では妻女山攻撃の別動隊にも問題があったとする。若手ホープの高坂弾正に老練な真田幸隆をつけるという万全の体制にしたと説明されることが多いが、本書では家臣間の競争意識があり、十分に機能しなかったと描いている。
外様の真田を主人公としており、武田家の弱点も冷静に見ている。「武田の武者たちは、一騎当千のつわもの揃いである。それが、この軍団の強さのみなもとだが、おのが武勇を誇るあまり、すすんで敵中に突っ込んでゆくきらいがある」(294頁)。それを昌幸は「無駄に命を捨てるようなものだ」と否定する。その後の歴史を知る現代人は長篠の合戦を連想するが、これは北条攻めの際の文章である。武田家の弱点は、長篠の合戦前から明らかになっていた。
真田幸隆には幸隆なりの苦労があったが、二代目の昌幸は幼い頃から人質に出され、父親に対して突き放して見るようになっている。昌幸は「同じ命を懸けるなら、天下を相手に喧嘩をするほどの大勝負がしたい」と語る(188頁)。これは幸村に受け継がれる精神である。
相容れない対立者と描かれがちな徳川家康と真田昌幸であるが、本書は共通点を指摘する。人質生活を送ったこと、大勢力の狭間で苦労したことである(262頁)。一方で織田信長の比叡山焼き討ちや浅井朝倉のドクロのエピソードは非道で残虐というステレオタイプな描写になっている。直接の接点がなく間接的に見聞きした昌幸からの視点であり、ステレオタイプになることは仕方ないだろう。

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