『千一夜の館の殺人』ありそうでない弁護士探偵

林田力

芦辺拓『千一夜の館の殺人』(光文社、2009年8月20日発行)は、素人探偵・森江春策シリーズに属する推理長編である。単行本は2006年に刊行され、本書は文庫版である。

森江春策シリーズは事件に巻き込まれた弁護士・森江春策が謎解きをする推理小説である。フィクションは現実と非現実の微妙なバランスに醍醐味がある。現実から乖離した物語はリアリティに欠ける。一方で中には小説より奇妙な現実もあるものの、一般的には現実そのものでは面白みに欠ける。

その点、刑事事件中心の弁護士を探偵役とする本シリーズの設定は巧みである。刑事事件を扱う弁護士は高校生や家政婦の探偵に比べて不自然さがない。しかし現実の弁護士は当事者が収集した事実を元に法的主張をまとめることが仕事であり、探偵のように自ら事実を収集することはない。

この点は弁護士への大きな誤解であり、裁判に勝つためには当事者が事実を収集することがポイントになる。これは記者自身の不動産売買代金返還の裁判経験から断言できる(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。結論として弁護士を探偵役とする設定は「ありそうでない」設定であり、フィクションとして魅力的である。

本作品のタイトル「千一夜の館」からは「館モノ」を想起させる。外部との連絡が取れない館で連続殺人が起こるという展開は推理小説の王道である。しかし、本作品では「千一夜の館」自体が謎であり、関係者や場所を限定する役割を果たさない。そのために読者は最後まで裏切られ続ける。

また、本作品の特徴は作中の話題が豊富であることである。タイトルに「千一夜」とあるとおり、アラビアン・ナイト(千一夜物語)が下敷きになっている。また、天才的な数理情報工学者・久珠場俊隆博士の死が発端であり、博士の遺した量子コンピュータやRSA暗号など最先端のITの話題が登場する。また、博士の莫大な遺産が連続殺人の背景になっており、法定相続人の知識も必要である。さらに殺人事件では茶室の構造がポイントになる。推理小説を一冊書き上げるためには幅広い知識が必要になることを実感した。



     
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