『ソマリアの海賊』

林田力

望月諒子『ソマリアの海賊』(幻冬舎、2014年)は現代のソマリアを舞台にした小説である。密航船に閉じ込められ、ソマリアの海に突き落とされた日本人青年の冒険を描く。その中でソマリアの現実に触れていく。前半は危機的状況でありながら、どことなくユーモラスなところがある。後半に入ると、国際サスペンス色が強くなる。

ソマリアは失敗国家として悪名高い。本書でも無政府状態ぶりが描かれる。社会における最大の問題は草と呼ばれる依存性薬物の蔓延である。それが人々を建設よりも破壊の方向に向かわせる。日本でも脱法ハーブなど危険ドラッグの蔓延が社会問題になっている。これは何が何でも阻止しなければならない課題である。

一方で無政府状態は無秩序を意味しない。独裁政権の圧政と比べて過酷とも言えない。本書は国際援助の矛盾も突いている。遊牧民に近代国家の枠組みを押し付けることに無理があるのではないかとも考えさせられる。

ソマリアが無政府状態になったことで生じた国際的問題が海賊である。海賊も外からのラベリングであり、必ずしも無法者でも残酷でもない。彼らにも彼らの論理があることを本書は描いている。

現実社会ではソマリアの海賊に対処するために日本政府も自衛隊を派遣した。その影響は本書にも描かれている。タイ漁船を乗っ取った海賊は自衛隊の報復を恐れて乗員の日本人は誘拐対象から外した。しかし、逆に日本人が被害者にいる事実を隠すために日本人を海に捨てて存在しなかったことにしようとする(186頁)。自衛隊の海外派遣が在外邦人を安全にするか危険にするかについては議論があるが、本書の事例からは、どちらの論にも納得できる点がある。

外国を知ることで日本が分かると言われるように、本書はソマリアを舞台にするが、日本論にもなっている。ある登場人物は日本の武器は経済力や技術力ではなく、「誠意と根性と意地と美意識、善良さと心意気」と主張する(409頁)。それが失われ、逆にブラック企業やブラック士業、脱法ハウスや脱法ハーブなど、法律の隙間を狙い、相手を犠牲にする発想が蔓延しているところに日本の閉塞感が存在すると感じられてならない。徒手空拳でソマリアを生き抜いた主人公から生まれるものに期待したい。

林田力


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