『相続貧乏になりたくなければ親子で不動産を整理しなさい』

林田力

志賀公斗『相続貧乏になりたくなければ親子で不動産を整理しなさい』(アチーブメント出版、2014年)は税理士による相続対策の書籍である。

この手の書籍は、とにかく遺言書を書けば良いとなりがちである。しかし、現実は逆に遺言書による不公平な遺産分割指定が相続紛争を発生させることが多い。この点も本書は考慮している。相続紛争が発生しやすいケースで「一番多いのが、遺言書の内容が遺留分を侵した配分方法になっていることです」と指摘する(97頁)。故に「親子全員でどのように分けることが公平なのかを話し合って遺言書を作成しておくことか大切」になる(70頁)。

他の箇所でも相続人間の「話し合いなしで養子縁組の話を進めると、それ自体が相続の火種になってしまう可能性大です」と指摘する(136頁)。他の相続人を無視して自分だけが遺産を多くもらおうという卑怯なテクニックとは一線を画した書籍である。卑怯なテクニックを使えば他の相続人は怒りと不信を抱く。泥沼の相続紛争になることは必然である。他の相続人と話し合うか否か、それが相続紛争を避ける分水嶺である。

本書は節税手法などを紹介するが、過剰な節税は本末転倒になると戒める。たとえば不動産投資には節税効果があるとされるが、「相続税の節税効果だけに目を奪われて、賃貸経営で赤字を出す方がいる」とする(171頁)。

さらに不動産会社の金儲けのために節税対策と称して賃貸経営を勧めるケースもある。「不動産会社と組んでいる税理士のなかには、家賃収入のシミュレーション自体を非現実的な数値で計算しているケースもある」という(176頁)。不動産業者とブラック士業の餌食になってしまう。気をつけなければならないことである。




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