『ロリータ少女、政治家になる。』

林田力

田中美絵子『ロリータ少女、政治家になる。』(ヨシモトブックス、2014年)は派遣社員・フリーライターから政治家になったという異色の経歴の持ち主による自伝的エッセイである。私が著者を知った契機は2012年総選挙で、地元の東京15区(江東区)で民主党公認候補として立候補したことである。地盤のない江東区で落下傘候補として選挙運動に励む姿は、新住民として好感を抱いていた。

もともと著者は2009年の総選挙で石川2区から民主党の公認を受け出馬し、小選挙区で落選するものの比例で復活当選した。2012年の衆議院解散に際しては「止めに来た。行かないで」と涙ながらに初鹿明博議員(当時)の離党を止めようとし、そのシーンが「昼ドラみたい」と揶揄された。

しかし、本書によると、これは誰も仲間を引き止めようとしないという民主党の体質に一石を投じるという真面目な思いで行われたという(150頁)。このような感覚が欠けていたことが、民主党が見放された要因であり、民主党の立て直しのために考えるべきことであろう。

この総選挙で著者は石川2区から東京15区に国替えになったが、これは「小沢チルドレン」「小沢ガールズ」と見られた著者への左遷人事と言われた。また、東京15区は民主党を離党した東祥三議員(当時)の選挙区であり、著者は刺客とも言われた。どちらの話にしても民主党執行部の低俗さを印象付けるものである。ところが、実態は地元県議の反対で石川2区の公認候補となれず、公認候補のいない東京15区に国替えしたという。しかも、その反対県議は後に離党したとのことである(147頁)。無責任な噂と実像にはギャップがある。

著者は政治家としては貧困など社会問題への関心が高い。本書の巻末には雨宮処凛氏との対談も収録されている。著者は子ども時代に多くのコンプレックスを抱え、就職浪人や派遣社員を経験したという。このような著者が社会問題に取り組むことは自然体である。それこそ小泉構造改革によって貧困と格差が拡大した状況で民主党が期待された所以である。

今や民主党への支持は地に堕ちた感があるが、私は民主党2009年マニフェストを評価している。戦後日本政治の大きな問題は官僚主導と土建国家である。政治主導や「コンクリートから人へ」は二つの問題に対する直接の回答になる。民主党の看板倒れを批判することは容易であるが、他の既存野党が民主党ほど明確に官僚主導や土建国家を批判できていたとは思えない。せいぜい「大企業のためのコンクリート」から「労働者や中小建設業者のためのコンクリートへ」であって、土建国家そのものへの切り込みは弱かった。たとえ看板倒れであっても、看板を出しただけでも評価に値する。

この時期に民主党が他の野党を埋没させる形で成長できた理由も、左翼が「弱者のため」と言いながらも、その弱者とは頭の中だけの観念的な弱者であったり、自分達の運動・組織とつながっている人々だったりと市民の生活と縁遠いものであったためである(最近は日本共産党がブラック企業批判を打ち出し、市民の具体的な問題意識と合致して躍進に成功した)。

著者の政治姿勢は、それとは対照的である。著者はフリーライターとして風俗店の取材記事を書いたことがある。それを「風俗ライター」とラベリングされてバッシングされたことがあった。しかし、それをバッシングするような風潮には左翼的なフェミニズムの浮世離れした偏見が見え隠れする。

その種の論調よりも、この経験から「女性や弱者の目線に立った雇用政策に、女性の目線で取り組んでいかなければならない」(93頁)という著者の方が貧困問題や社会問題の解決に有益である。著者のような人物が政治家として地歩を固めることができれば民主党の看板も内実を伴ったものになると考える。


林田力


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